テキストサイズ

仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第6章 三つめの物語~砂漠の鷹~

 ふいに修明が伸び上がるようにしてリーラの樹の梢に触れたかと思うと、そっと翠華の髪に触れた。
「リーラの花だ」
 翠華は眼を瞠った。恐る恐る自分の髪に触ると、確かに一輪の花が飾られていた。五十年に一度しか開かぬという幻の花、彼の麗しき花が咲いていた―? 確かに、例えようもない芳しい香りが鼻腔をくすぐる。高みに咲いていたので、気づかなかったのだろうか。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ