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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第2章 初めの物語~砂漠の花―ミイラが語る愛―~

 その良人の背に隠れるようにうつむく妻は、まるで親鳥に守られている雛鳥のように小柄で華奢である。美しい妻を、良人は見知らぬ男たちの眼から隠すようにその背後に庇っていた。
 砂漠の夜の闇は深かった。昼間は炎熱の地獄と化す砂漠は夜には一転して、凍てついた寒さに支配される。その辺に落ちていたリーラの樹の枝を集め、良人は火を熾した。

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