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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第2章 初めの物語~砂漠の花―ミイラが語る愛―~

「旅のお方」
 突如として声をかけられ、良人はハッとしたような表情で顔を上げた。
「このような広い砂漠を旅する途中でめぐり逢ったのも何かの縁、私どももそちらへ行って、火に当たらせて貰ってもよろしいでしょうか」
 隊商(キャラバン)の隊長と思しき男が浅黒い肌の精悍な面に人懐っこそうな笑みを浮かべていた。右頬に鋭い疵痕があるが、その穏やかな声音や表情とはあまりにも不似合いである。

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