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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第2章 初めの物語~砂漠の花―ミイラが語る愛―~

 良人は一瞬警戒するような眼で相手を見たが、必要以上の用心深さはかえって他人の好奇心を煽ると判断して、小さく頷いた。
「これは、ありがたい」
 男が仲間たちに向かって、顎をしゃくると、たむろしていた男どもが次々と炎に近づいてきた。
 炎に照らし出された男たちの顔は皆、揃って浅黒く、漆黒の髪と肌をしており、砂漠に生きる民の顔立ちをしていた。

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