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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第2章 初めの物語~砂漠の花―ミイラが語る愛―~

「それにしても、お連れの女性はかなりお疲れのご様子とお見受けするが」
 隊長が言うと、良人は無表情のまま応えた。
「妻は生まれつき身体が弱いのです」
 隊商の中ではいちばん年かさらしい隊長は、〝なるほど〟というように相槌を打つ。
「か弱い女性に砂漠の旅は相当にこたえるもの。しかも、お身体が弱いとあっては、道中さぞ難儀をしておいででしょうな」

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