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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第2章 初めの物語~砂漠の花―ミイラが語る愛―~

 隊長は無遠慮に妻の方を見つめた。
その視線に値踏みするようなものを感じ取り、良人はさりげなく座る位置を変え妻を庇うように更に後ろへと隠した。
 その時、一陣の風が砂漠を吹き抜けた。乾いた風はリーラの樹の梢を揺らし、緑濃き葉がさわさわ音を立てて揺れる。と、ふいに隊商(キャラバン)の隊長が頭上を振り仰いだ。
「ホウ、これは珍しい、リーラの花が咲いている」

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