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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第2章 初めの物語~砂漠の花―ミイラが語る愛―~

 それから一晩中、少年の悲鳴が絶えることなく聞こえた。それは明け方近くになって徐々にか細く力ないものになり、夜明けと共に完全に絶えた。
 見つけた獲物からは容赦なく金品を奪い尽くし、最後には許しを乞い助けを求める者の息の根を止める―、それが残酷非道を謳われた「砂漠の鷹」の常のやり方であった。
 だが、この時、砂漠の鷹は猛訓と梨羅のとどめを刺すことはなかった。

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