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妄想と生きる。

第43章 暗闇の中で。

エッチは最後までしなかった。

私が途中でモノを抜いたんだと思う。

また何かイヤなこと考えて。

旦那のことをまた責めたのだと思う。

旦那は寝室へ行った。

私は追いかけて何か話したと思う。

何を話したかも思い出せない。



私は寝室を出た。

何にも考えたくない。

もう、終わりにしよう…

私は仕事で使っているネクタイをバッグから出した。


部屋の窓際に、洗濯物を干している鉄の棒がある。

2人目を妊娠しているときに洗濯物を干せるようにと、してくれた。

そんな、やさしい、あなたが、私は世界で一番大好きでした。

ゴメンなさい。

さようなら。

私はネクタイを棒に引っ掛けた。

イスに上がって自分の首にも引っ掛けた。

『…今までありがとう』

聞こえるか聞こえないか分からない声の大きさで言った。

イスを外した。

… 

暗闇の中。

一瞬、ほんの一瞬だけ、真っ白に見えた。

苦しい…。

声が出ない。

私は思った、生きたい、と。

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