やっと、やっと…
第10章 甘い記憶
今日は水族館に行く
やっぱり夏休み中だから
電車の中も人が多くて
ほとんど満員のような状態だった
水族館前まで行く電車に乗り換える
その電車も満員に近いほど人が多く、隅っこの隙間を見つけてそこに避難するように電車に乗った
近くに３人組の若い男の人達が居た
その中の一人が私の目の前にいる
その人が背負っているリュックが電車が揺れる度ぶつかりそうになる
それを何度かよけていると
すっと
隣に居た智己が私の前に入り
ドアに手をつく
私は電車のドアと智己に挟まれる
（かばってくれたのかな？）
智己はドアから
外の景色を眺めている
私がその姿を見つめていると
ふと私を見下ろした智己と目が合う
智己は私に微笑みかけ
右手をドアにつけ自分の体を支え
もう片方の手で
私の体を優しく包んだ
（・・・っ電車の中なのに）
そう思うが
大きな智己の胸の中は心地良くて
私はずっと自分の体を委ねていた
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