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やっと、やっと…

第10章 甘い記憶



体験コーナーに到着すると



周りは小さな子供達がほとんどだった





浅い水槽の中に
ヒトデやカニや小さな魚が泳いでいる



その水槽の中を
興味深そうに覗き
ヒトデに恐る恐る触る子や
カニを捕まえて遊ぶ子・・・

それぞれが楽しそうに遊んでいた







隣の智己はと言うと・・・







何も言わずその光景を見つめ
硬直していた







その姿に思わず吹き出してしまう






「やっぱり触れないんでしょ?」





そういうと




「ゆ、唯は触れるのかよ?」




と、私に聞いてきた



私は魚はほとんど抵抗なく触ることができた





「触れるよー?ほら」





そう言って
水槽の中に手を突っ込んで
ヒトデを触って見せた









すると











「お姉ちゃんすごーい!」



近くに居た小さな女の子が私を見てそう言った



その女の子はヒトデが怖いのか
水に手を入れてもすぐに引っ込めてしまっていた






「ヒトデ怖いの?」


そう女の子の横に
しゃがんで聞くと




「うん・・

ママとパパがヒトデ触ったら
イルカさんのお人形買ってくれるって言ったから触りたいけど触れないの・・」




俯いて泣きそうになりながら
女の子が呟くように言った




すると、その様子を後ろから見ていた智己が女の子を私と挟むように隣にしゃがんだ





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