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やっと、やっと…

第10章 甘い記憶



それから私達は水族館のレストランで
夕食を食べていた



海の見える窓際の席で




(少し高めのお店だけど、

今日ぐらいは特別だよね・・)





そう思いながらも美味しい料理に
舌鼓を打つ






でも、食べ終わる前に
私にはやらなきゃいけないことがあった




(用意してたプレゼント、

渡さなきゃね)






今日のために
智己の大好きなマドレーヌを焼いていた
他にもプレゼントを用意していた





(よろこんでもらえるかな・・)






ドキドキしながらもバッグの中からプレゼントを取り出す






「ねえ・・」






シーフードピザを美味しそうに食べる智己に声をかける





「ん?」





ピザにかじりついたまま目線をこちらに向けた






「誕生日おめでとう

はい、これ・・」





少し照れながらもプレゼントを渡した





「おぉっ、ありがと」





ピザを皿に置いて手を拭き
プレゼントを受け取った


そのままリボンを解き
中を見る





「ありがと唯、大事に使うね」





笑顔で私を見つめる智己を見て
ほっと胸をなでおろす





(よかった、よろこんでもらえた・・・)





いつのまにか沈み始めた夕日に照らされる智己をそう思いながら見つめていた
















ふと窓の外を見ると海の向こうに
太陽が隠れていくのが見える



海が赤く輝き
楽しかった時の終わりを告げる






店の客達の感嘆の声の中
私はなんだか寂しいような気持ちで窓の外を眺めていた







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