無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

・・・・・



ヒトデ持ち上げたまではいいが
元に戻せないでいた





その様子を見てか、
唯が俺をなだめるように



「ヒトデ、怖いの？」



と、そう聞いてきた





どうも手の上でうねうねと動く感覚が気持ち悪い




俺はその感覚を伝えようがなく
無言のまま唯に目線で訴えた




唯は何も言わず
そっとヒトデを持ち上げ
水槽の底に優しく置いた




手から不快感が消え
ほっと胸を撫で下ろす







「やっぱ怖かったのね・・」





唯が俺を見ながら
微笑み言った






「そういうわけじゃ、
ないけど・・・」





動揺を抑えきれず
しどろもどろになりながらも答えた





唯から目を逸らし
水槽の中を覗く


その中に居る小魚を目で追った
二匹の魚がくっついたり離れながらそれでも一緒に泳いでいる




少し沈黙のまま時間が流れ・・・







ふっと

頭に唯の手が触れた






「―――え？」






どうしたんだろうと思いながら
唯の方を見る






「どうしたの？唯」






唯は下を向きながら恥ずかしそうにしている






「あっ、いや

智己もよく頑張ったねって

よしよしって・・・」








（―――っ！）







優しくて小さな手が
俺の頭を撫でる

小さな子供でもあやすように・・





唯のその行動に驚き
何も言えず唯を見つめた



いや、驚いたと言うより
なんだか嬉しかった




上目で俺を見る唯の潤んだ目が可愛くて・・





「最初から、触れるよ、ヒトデくらい・・」




優しい気持ちになって
笑顔がこぼれた







今までは見たことのない

こんな唯の顔



友達だったときとは全く違う





他の男には・・




見せたくない





（俺は唯が、こんなに、

好きなんだ・・・）






唯は俺の手をぎゅっと握り






「いこっか」






そう言って
甘く優しい笑顔を俺に向けた