やっと、やっと…
第11章 人の夢は儚くて
ガチャ
とうとう私の部屋のドアも
誰かによって開けられてしまう
しゃがんで目を閉じ下を向く
そこに
「唯…」
低い声が
静かな部屋に響いた
私はその声に聞き覚えがあった
何度も何度も
その声に名前を呼ばれた
夢の中でも
現実でも
顔から血が引くのがわかる
目を閉じているのに
めまいがした
きっとしゃがんでいなかったら
私は倒れ込んでいたかもしれない
私はゆっくりと
ゆっくりと目を開け
顔を上げる
「唯、やっと会えた…」
目が合うと
その人は微笑み私の名前を呼ぶ
あの時と
同じように
「…っ圭介、なん、で…」
その人は、
私の部屋に立つのは
間違いなく
圭介だった