テキストサイズ

花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第4章 春の夢 四

「さあ、寄ってらっしゃい、見てらっしゃい。何と、あの町人町の呉服太物問屋伊勢屋の美人内儀がついに年貢の納めどきと来た!! 前の亭主とは他人(ひと)も羨むほど評判の仲睦まじさだったと聞くが、さて、亭主が亡くなって丸二年、この美人内儀の心を動かした男はついぞ一人もいなかったというのに、ここにきて、その氷のような女心を溶かした男が出現したよ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ