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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第4章 春の夢 四

 どこからともなく春の風が吹き、水面を渡る。一陣の風が桜の梢を揺らし、また、薄紅色の花びらが雪のように舞った。
 まさに、夢の中の光景のようだ。
 そう、夢はいつか醒めるときがくる。
 一年前、清七がこの場所で見たのは、束の間の美しくも哀しい夢だった。
 清七は、いつまでも寄り添い合うひと組の家族を背後に、そっと踵を返した。
                ( 【春の夢】  おわり)

 ☆ 明日から第二話へ ☆


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