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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第5章 恋花二つ目~恋紫陽花~壱

 真っすぐに差し込む夕陽に心もち眼を細め、お民は小首を傾げた。どうも、ここのところ、肩の懲りが気になって、しようがない。特にこれといって何をしたというわけでもなく、原因も思い当たらない。
―私もそろそろ歳かねえ。
 お民は苦笑いを刻み、肩をすくめる。
 本当に月日の経つのは早いものだ。所帯を持ってからの年月だって、こうして容易くは思い出せないほど昔のことになってしまった。

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