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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第6章 恋紫陽花 弐

 源治が訝しみながら家に戻ろうとした時、かすかな水音が聞こえたような気がして、立ち止まった。
 源治はゆっくり歩いて、水音のする方へと近づいてゆく。やはり、聞き間違いではなかった。長屋の住人が共同で使用する井戸傍で、お民が白装束となり、頭から水を被っていた。

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