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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第7章 恋紫陽花 参

 その美空が、何と尾張藩ご簾中さまとして、江戸の尾張藩邸に迎えられたのは一年前のことだった。美空はその三月ほど前に、小間物売りの行商をしている若い男と所帯を持った。祝言は徳平店の差配卯之助が仲人となり、徳平店で行われた。お民・兵助夫婦はむろん、源治や他の住人も皆見守る中で、美空は惚れた男と晴れて夫婦となった。

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