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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第7章 恋紫陽花 参

 ところが、である。あろうことか、この若い小間物売りは尾張藩の若殿さまであった。その裏に潜む複雑な事情をお民が知る由もないけれど、色々とあって、若殿さまが一介の小間物売りに身をやつしていたらしい。
 尾張藩のお殿さまが亡くなったというので、一人息子の若殿さまは後を継がねばならない仕儀になり、元居た場所に帰ることになった。それに伴い、美空もまた若殿さまと一緒に尾張藩邸に赴くことになったのだ。

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