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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第7章 恋紫陽花 参

「余計なことは一切考えるな。これからは、俺がお前の笑顔を守る」
 源治のくれたひと言が、お民の心の底にまで滲みた。
 白い頬を大粒の涙がころがり落ちてゆく。
 雨も降ってはいないのに、心なしか、紫陽花の色が先刻よりわずかに深まったように見えた。
 人の想いも、深まってゆく。

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