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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第8章 三つめの恋花  桜いかだ 其の壱 

 だが、当の弥助自身は、そんなことは一向に頓着していなかった。弥助は居職の錺(かざ)り職人である。この町人町を抜けた江戸の外れに娘と二人で暮らしていた。二人の暮らす長屋は江戸っ子たちからは〝徳平店〟と呼ばれている。

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