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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第1章 恋花(こいばな)一つ目~春の夢~壱

 その弾みで勢い余った清七が数歩後ろによろめく。
「慎之助さんの意地悪」
 女が清七の逞しい胸に頬を押し当て、拗ねたように言う。
 刹那、清七の身体がカッと熱くなった。
―やはり、この女は俺を慎之助という男と間違えている。
 そうとはっきり判ったからには、女の身体をすぐにも離さなければならないと思うのに、何故かできない。

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