テキストサイズ

花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第8章 三つめの恋花  桜いかだ 其の壱 

「いや、気にしねえでくんな。それよりも、今夜は、ご馳走さん。折角、出して貰ったのに、残しちまって済まない」
 事実、弥助の前の金平も湯豆腐も殆ど手つかずの状態だ。
「それよりも、幾ら払ったら良いのか判らねえんで、これだけ受け取って欲しいんだが」
 弥助が懐から銭入れを取り出し、おもむろに小粒銭を差し出すと、おれんは笑った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ