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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第9章 花いかだ 其の弐

―色んな男の人が色んなことを言ってきましたけど、どの男の科白にも実というか心がちっともないのがすぐに判りました。それで、男の人は信用できない、しちゃいけないって自分に言い聞かせて、自分の回りを固い殻で囲って必死で店を守ることだけを考えて生きてきたんです。そうしたら、いつのまにか、男っ気もないままにこんな歳になっちまって。
 十日前に弥助が〝花のれん〟を訪れた日、おれんがやや自嘲気味に呟いた科白が今更ながらに耳奥で甦る。

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