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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第9章 花いかだ 其の弐

「弥助さん、あたし、―嬉しい」
 おれんは涙の滲んだ瞳で弥助を見つめた。
「じゃあ、俺の女房になってくれるのか?」
 勢い込んだ弥助に、おれんはわずかに瞳を揺らした。
「でも、お嬢さんは、あしのこと、どう思うかしら。あたしの商売が商売だし、感じやすい年頃の女の子だから、もしかしたら受け入れて貰えないかもしれない。あたしもあのくらいの歳は潔癖で、今なら何でもないようなことまで一々目くじら立ててたもの」

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