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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第9章 花いかだ 其の弐

 おれんが余計なことなど何一つ考えられないように、惚れた女の口から己れ自身を貶める言葉など一切出ないように。強く、烈しく貪るようにその唇を塞いだ。
 その花の唇を思うがまま味わった後、弥助はおれんの乱れた髪のひと房を手のひらで掬った。
「もし、お前が厭だというのなら、むろん無理強いをする気は毛頭ねえ。だが、俺のことを少しでも想ってくれているというのなら、この話を前向きに考えてみて欲しいんだ」

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