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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第9章 花いかだ 其の弐

 おれんが悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「さあ―? 何でしょうかねえ」
「おい、人をはぐらかすなよ。俺はこれでも―気になってるんだ! お前がその―誰か他の男とのことを祈ってたんじゃねえかって」
 しまいは自棄(やけ)になって、ひと息に言うと、おれんは何故か嬉しげに笑う。
「そんなことあるわけないでしょ。あたしが他に好きな男がいるのに、弥助さんについてこんなところに来るような女に見えるの?」
 おれんは呆れたように言い。
 小さな溜息をつく。

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