テキストサイズ

花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第9章 花いかだ 其の弐

 弥助が心ここにあらずといった状態があまりにも長く続いたため、いつしか、美空が話しかけるのを止め、じっと父を観察するように上目遣いで眺めていたことにも、迂闊にも気付かなかった。
―参ったな。
 弥助は盛大な吐息でもつきたい気分だった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ