テキストサイズ

花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第9章 花いかだ 其の弐

 その夜。
 弥助は娘のこしらえた心尽くしの夕飯を食べながら、頭はおれんのことで一杯だった。
 ―というよりは、一体、どうやって、おれんと所帯を持ちたいのだということを娘に伝えたら良いか、正確には、そのことばかり考えていたのだ。
 どのような言葉を選び、何と説明すれば、二人のことをちゃんと美空に伝えられるか。そんなことに思案を巡らせつつ、美空が何を話しかけても心は上の空で生返事しか返せない。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ