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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第9章 花いかだ 其の弐

「だって、別に私がおれんさんと所帯を持つわけでもなし、それに、おとっつぁんの選んだ女(ひと)なら、きっと素敵な人だと思うから」
―おとっつぁんの選んだ女(ひと)なら、きっと素敵な人だと思うから。
 そのひと言がじんわりと弥助の心の底にまで滲みてゆく。だからこそなおのこと、美空に訊ねておかなければならないことがあった。
「おれんさんの店は―〝花のれん〟は縄暖簾なんだ。マ、平たく言やア、飲み屋なんだが、お前はそれでも良いのか?」

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