花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第10章 花いかだ 其の参
「おれん―、貴様、私のところに来る気など金輪際ないと言い切りながら、そんなしがない職人とはよろしくやっているのか!」
血相を変えた三笠屋の藤次郎が二人の前に仁王立ちになっている。そののっぺりとした白い顔が怒りのあまり、赤黒く染まっていた。
「若旦那、今夜はもうお客もお見えにならないようなので、早めに店を閉めたのです。でも、他ならぬ若旦那が折角お見えになったのですから、どうぞお入りになって下さいまし。さ、こちらへどうぞ、すぐに一本おつけしましょう」
血相を変えた三笠屋の藤次郎が二人の前に仁王立ちになっている。そののっぺりとした白い顔が怒りのあまり、赤黒く染まっていた。
「若旦那、今夜はもうお客もお見えにならないようなので、早めに店を閉めたのです。でも、他ならぬ若旦那が折角お見えになったのですから、どうぞお入りになって下さいまし。さ、こちらへどうぞ、すぐに一本おつけしましょう」