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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第2章 春の夢 弐

 いかにしても消すことのできぬ女の面影を清七が追っていたその時、賑やかな話し声が耳を打った。
「それでは、信濃屋さん。私はこれにてお先に失礼させて頂きます」
 まだ若い女の声だ。
「今日はどうもご苦労さまでございました。これから二次会が深川の方の店であるとのことですが、うら若い女人をそのような場所にお誘いするのは気が引けますゆえ、今宵はここでお見送りすると致しましょう」

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