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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第2章 春の夢 弐

 物柔らかな口調は、いかにも商人らしい余裕のある喋り方だ。
 所詮、清七とは住む世界が違う大店の主人だろう。
「私も残念にはございますが、店のこともありますから、やはりここでお暇させて頂きますわ」
 澄んだ玲瓏とした声、―この声には聞き憶えがある。

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