テキストサイズ

花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第10章 花いかだ 其の参

 弥助は笑顔で頷いた。
「さあ、もう行きな。月が出てる中に、帰った方が良い」
 おれんは今度は素直にその言葉に従った。
「本当に気をつけて下さいね?」
 それでもなお弥助を気遣う言葉を残し、おれんは心をその場に残すかのように幾度も振り返りながら帰っていった。
 弥助は、おれんのか細い後ろ姿が曲がり角を曲がって見えなくなるまで、ずっとその場に佇んで見送った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ