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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第10章 花いかだ 其の参

―俺は、何があっても、いつも凜と前を向いているお前の強さが好きだ。
 弥助の言葉が身体の芯に落ちてきて、おれんの黒い瞳に鮮やかな光を宿した。朦朧としていた意識が一気に明確になって、鮮明な過去の記憶が甦ってくる。
 そう、たとえ何があっても、弥助は生きている。おれんの胸の中で。
 脳裡に弥助と過ごした一瞬一瞬が花の蕾が綻ぶように鮮やかに花開く。

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