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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第10章 花いかだ 其の参

 おれんが取るものも取りあえず現場に駆けつけた時、和泉橋のたもと―桜の樹の下には大勢の人だかりができていた。
 物見高い見物人たちを八丁堀の役人や岡っ引きが近づきすぎぬように押さえている。
 折しも丁度その場に、一人の少女が女に連れられてやってきた。人垣が割れ、女に付き添われた少女が筵の掛けられた亡骸に近づく。
 少女に寄り添っているのは、おれんに弥助の死を知らせてくれたお民という女だった。

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