テキストサイズ

花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第11章 四つめの恋花 山茶花~さざんか~ 其の壱 

其の壱

 雪が、降っていた。仰のけば、鈍色の空から、はらはらとまるで気紛れな神さまが白い花びらを振り落とすように降ってくる雪片が見える。眩しい、眩しい白は穢れなき色、純潔を表す真白は花嫁御寮の纏う白無垢の色。
 そう、あたしなんかには一生、身に纏うどころか、触れることすら叶わぬ、許されぬ色だ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ