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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第11章 四つめの恋花 山茶花~さざんか~ 其の壱 

 臆病な男を嘲笑ってやりながら、千汐は手のひらで小粒銭を転がす。
 こうやって、手の上で男を、銭を転がしてながら、世間を自分を薄汚い女郎だと蔑む奴らを逆にこっちが嗤ってやる。
 自分をこんな境遇にまで追い込んだ世間を嗤いながら、何故か千汐は、その時、白い頬を濡らしていた。泣きながら、血の涙を流しながら、千汐は世を嘲笑い、呪った。

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