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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第12章 山茶花~さざんか~ 其の弐 

 其の弐

 気が付けば、千汐の随明寺近くの出合茶屋にいた。随明寺は江戸の外れにある黄檗宗の名刹である。開基は浄徳大和尚。広大な境内地に金堂、三重ノ塔、絵馬堂を初めとする諸伽藍が点在し、ひと月に一度、浄徳大和尚の月命日に催される縁日市には多くの参詣客で賑わう。その日は、広い境内にあまたの露店が所狭しと店を出し、江戸の庶民の愉しみの一つともなっている。

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