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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第12章 山茶花~さざんか~ 其の弐 

 ここで言い逃れをしても、無駄なことは判っている。千汐の格好はどう見ても、堅気に見えないことは自分でも知っているからだ。素人女はこんな風に髪をだらしなく解き流したりはしないし、着物だって胸許を大きくひらいたりはしない。
 千汐が身動きする度に、ひらいた襟元から白い豊かな乳房がちらとかいま見える。それが男の気を引くことを承知で、夜鷹たちはわざと着物を伝法に着崩するのだ。

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