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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第12章 山茶花~さざんか~ 其の弐 

―別にどうってことはないさ。
 千汐は唇を強く噛みしめ、滲んだ涙を袖でゴシゴシとこすった。
 これまでに数え切れないほどの男と身体を重ね、客に言うに耐えないような真似だってされたこともある。そんな身であってみれば、今更、生娘でもあるまいに、ゆきずりの男に手込めにされたからとて、何ほどのことがあろう。

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