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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第12章 山茶花~さざんか~ 其の弐 

―女郎なんぞ、所詮は男に身体を売る慰みものじゃねえか。
 そう言って泣き叫ぶ十六の少女を手込めにしようとした男。あの男も猛り狂った獣のように、千汐の身体を我が物にすることしか眼中にないようだった。
 名も知らぬ男は千汐の身体をさんざん陵辱した挙げ句、一刻後、一人で空き家から出ていった。
 残された千汐は緩慢な動作で身を起こし、辺りに散らばった帯や着物を拾い、身につけた。

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