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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第13章 山茶花~さざんか~ 其の参  

「何か、ご用がございましたなら、何なりとお言いつけ下さいまし」
 安平太は曽太郞が生まれる前から、鳴戸屋に奉公している古参の奉公人である。歳はそろそろ六十近い。曽太郞の父安兵衛(やへえ)も一目置き、片腕とも頼りにしている鳴戸屋にとってなくてはならない存在だ。

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