紫陽花(オルテンシア)~檻の中の花嫁~
第1章 炎と情熱の章①
☆ChapterⅠ
《ChapterⅠ》
☆プロローグ(序章)~デ・ジャ・ウ~ ☆
美月は夢を見ていた。美月の周囲には光が溢れている。透明で真っすぐな幾筋もの光が集まったその場所に、彼女は佇んでいる。光の渦の中で美月はあまりの眩しさに一瞬、眼をまたたかせる。
光が、降る。澄んだ大気の中、ひらひらと舞う。でも、光があたかも雪のように形をなして天から降ってくるなんて、少し妙だ。
美月は違和感を憶えて、つと顔を上げる。と、それまで光だと思っていたはずのものが―いや、溢れる光はそのままに、空から雪のように無数に降り注いでくるものがある。何かと思って、よくよく眼を凝らしてみると、かざした手のひらに舞い降りたのは一枚の葉だった。すっかり鮮やかに染め上がった黄金色の木の葉。
美しく色づいたたくさんの葉が一斉に美月目がけて降り注ぐ。夢の中の出来事だと判っているのに、まるで今、まさにこの瞬間、確かに体感しているかのようなこのリアルな感覚は一体、何なのだろう。
美月は雪のように絶え間なく降りしきる黄金色の葉を浴びながら、考える。しかし、いくら考えても、その応えを見つけられぬまま、彼女の意識はやがて深い眠りの淵へと沈み込んでいった。
《ChapterⅠ》
☆プロローグ(序章)~デ・ジャ・ウ~ ☆
美月は夢を見ていた。美月の周囲には光が溢れている。透明で真っすぐな幾筋もの光が集まったその場所に、彼女は佇んでいる。光の渦の中で美月はあまりの眩しさに一瞬、眼をまたたかせる。
光が、降る。澄んだ大気の中、ひらひらと舞う。でも、光があたかも雪のように形をなして天から降ってくるなんて、少し妙だ。
美月は違和感を憶えて、つと顔を上げる。と、それまで光だと思っていたはずのものが―いや、溢れる光はそのままに、空から雪のように無数に降り注いでくるものがある。何かと思って、よくよく眼を凝らしてみると、かざした手のひらに舞い降りたのは一枚の葉だった。すっかり鮮やかに染め上がった黄金色の木の葉。
美しく色づいたたくさんの葉が一斉に美月目がけて降り注ぐ。夢の中の出来事だと判っているのに、まるで今、まさにこの瞬間、確かに体感しているかのようなこのリアルな感覚は一体、何なのだろう。
美月は雪のように絶え間なく降りしきる黄金色の葉を浴びながら、考える。しかし、いくら考えても、その応えを見つけられぬまま、彼女の意識はやがて深い眠りの淵へと沈み込んでいった。