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甘恋〜こ、こんなのあり?〜

第10章 メイドのお仕事②

雅の手をしっかり握ったまま、あたしたちは前に進んで行った。

たくさんお化けが出てきて、追いかけられたり驚かされたりしたけど……


雅が本気であたしのこと守ってくれたから、全然怖くなかった。

繋いでいた手はずっと離さなくて…





「…やっぱ怖かった?」


すっかり夕焼けの帰り道。


いつもの意地悪な言い方とは裏腹の、柔らかい声で問いかける雅。


「ちょっとだけ、ね。

でも…雅がいたから怖くなかったよ」


ありがと、って伝えると雅も嬉しそうに微笑んでた。


あれ…雅って、こんな風に笑うんだっけ。

ニヤリと笑う感じじゃなくて、自然と起こるふわりとした笑顔。


初めは“仕事”って言ってたけど…



いまも雅は、あたしと今日遊園地で過ごした時間を“仕事”だと思ってるのかな。


素直に、楽しかったって思ってくれてるといいな。


「心乃」


時々名前で呼んでくれる雅に、あたしはん?って顔を上げた。


「また、行こうな」


“また”…?


「……うんっ!」


幸せな時間を過ごしながら。


まだ夏の暑さの残る秋の始まりの風が、あたしの頬を掠めていた。

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