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甘恋〜こ、こんなのあり?〜

第12章 文化祭②with瑠衣

すると、耳元でこそっと瑠衣の声が。


「大丈夫。自分の思ったことを言って?きっと伝わるから」


“きっと伝わるから”。

少しだけ心が軽くなる。


あたしの書いた作品の、伝えたい想い。

すぅっと息を吸って、あたしは言葉を紡ぎ始めた。


「この詩は…いまのあたしの気持ちをそのまま書きました。

いままで平凡に過ごしてたのに、急に波乱が起きたみたいになって……


戸惑って泣いてみたり、ドキドキして眠れなくなったり…


平凡なままだったら知ることのできない、新しい“わたし”を知ることができました。


そんな気持ちを詩にしてみたんです。


よかったら…読んでみてください」


全部言い切ると、あたしはふぅっと呼吸。


なんだかスッキリした。

去年は、こんな風に誰かに書いた作品を伝えることもなく終わってしまったから。


たとえ売れなかったとしても、言いたいことは言えたからいいかなって思える。


……なんて思っていたのに。


「あたし…買いますっ」


ふぇ?

まさかのお客さんの“買います”の一言にあたしは驚きを隠せない。


なんで??

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