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甘恋〜こ、こんなのあり?〜

第13章 文化祭③with陸

制服の汚れを手で払いながら、陸ははあっとため息をついた。


「1人で来たのに、途中で女の子に声かけられて…

色々食いもん手渡されたついでに体をベタベタ触られた…ったく、ひどい目にあったぜ……って




お前こそそのカッコなんだよ!?」


へ?


陸に指差されたあたしは自分の格好を確認する。


「執事、だけど?」


メイドカフェではなくご奉仕カフェという名前の理由は、メイドと執事の両方を着ているからなのだ。


そしてあたしは執事の衣装を着ているというわけ。


こないだ陸が着ていたような黒のタキシードを着て、男装をしている。


「へへっ、似合うだろ?」


ちょこっとだけ男っぽい言い方をしながらくるりと一周して見せると、陸ははぁっとため息。


なぜため息!?


「ったく…メイドじゃなくてよかった…

メイドだったら他の男に見られちまうからな…」


ぼそっとなにかを呟く陸に、あたしはよく聞こえなくて。


「?なんか言った、陸?」


聞き直すと、陸は恥ずかしそうにそっぽを向いてしまった。


「な、なんでもねーよ!」


本当、陸ってばどうしたんだろ。

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