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甘恋〜こ、こんなのあり?〜

第20章 婚約者?

ーside by 雅ー

「父さん、頼みがあるのですが…」


そう言って父に切り出した大学1年の春。


誰も使っていない北條家の大きな屋敷のある場所に住みたいこと。

そして、メイドを雇いたいとも頼んだ。


親父は二つ返事でOKをくれた。


これまで中学高校と心から友達と言える奴はいなかった。だからー…


恋の字も知らない俺には、そのきっかけが欲しかったんだ。


そして親父が雇ったメイド。


それが心乃だった。


でも、彼女を雇って屋敷に住むには条件が必要だった。



その条件は、昔から俺が嫌がっていたことで…親父は俺の頼みをきっかけにこの条件を提示してきたのだ。


「…わかりました。

俺がその条件を飲めば、屋敷に住まわせてくれるんですよね?」


「ああ。こんな風にお前を縛り付けたくはないが…


朝川家の力がうちには必要なんだ」


“朝川家”。


古くから伝わる名家だ。


生花とか、だったかな。


北條家と朝川家は古くから交友があり、もし異性の子が生まれた場合には…


結婚することが掟なのだという。

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