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ーside by 千晶ー


「おはようございます、千晶様。

朝食の準備は整っておりますのでこちらへ」


もう何十回、ううん何千回何万回！！！


この言葉に腹が立ったことだろう。


「お願いだからそんな言葉使わないでよ、せめて。もっと普通に話して？

あたしにだけでいいから」


目の前にいる数人のメイドに告げるあたし。


このセリフも何回言ったことか…


どうしてこんなとこに生まれちゃったんだろうって、いつも思う。


あたしの生まれた朝川家は、華道の名家で何代も続いてる。


まぁだからって、この家に生まれたことを恨んではいないけど…


せめて高校は普通のとこに行きたいってわがままを言ってもお父様は許してくれたし。


それに、お姉ちゃんよりはマシだよ。


あたしの姉である千鶴は、長女としての責任を抱えられてる。


幼い頃から朝川家を継ぐため、家柄の良い婿を入れることをしきたりとして言われてきたお姉ちゃん。


それを嫌がることなく、当たり前のことのように受け入れたお姉ちゃんをあたしはすごいなって思った。


確かにお姉ちゃんは固いしきたりの中で生きる人だけど…


あたしに接するときだけは、その縛りを解いてくれるんだ。