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甘恋〜こ、こんなのあり?〜

第10章 メイドのお仕事②

「俺んちって厳しくてさー。英才教育っていうの?

子どもの頃から遊ぶっつっても遊園地とかじゃなかったんだよね」


お金持ちならではの事情なのか。

雅のことをほんの少しだけど知れて、ちょっと嬉しくなるあたし。


「それで、あたしと遊園地に…?」


大学の女の子でもなく、友達でもなく。

あたしを誘ってくれたことに少し優越感を感じてしまう。


…と思ってたのに。


「は?お前は俺のメイドなんだから俺のために奉仕すんのは当たり前だろ?」


ケロッとした顔で言う雅に、あたしは驚いて“あ”の字に口が開いたままになる。


そっか。

遊園地に行くのは雅が行ったことないから、あたしがメイドの“仕事”としてついて行くだけ。


はっきりとそう言われると、なんかしょげる。


でも…なんで悲しくなるんだろ。

こないだからずっとそうだ。


「ぷっ、ブサイクな顔」


「んなっ」


どうやら開いたままの口が塞がっていなかったからか、雅はクスクスと笑っている。


あ、あんたのせいでしょうがーー!!


「そんなこと言ってると一緒に行かないよっ」


拗ねたように返すあたしに、笑っていた雅の顔が真顔になった。


「え…ごめん、な?笑ったりして…」


えっ!!

いつもは逆ギレ(?)するくせに、なんでそんな眉を垂れ下げて悲しそうに謝るの?

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